2026.07.22 更新

【2027年4月開始】育成就労制度とは?技能実習からの変更点と「介護」分野における特定技能との比較

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【2027年4月開始】育成就労制度とは?技能実習からの変更点と「介護」分野における特定技能との比較

2027年4月1日、新しい在留資格制度である「育成就労制度」がスタートします。

技能実習制度を発展的に解消して創設される制度で、人手不足が深刻な分野で外国人を原則3年間かけて育成し、そのまま人材として確保することを目的としています。

介護は、この育成就労制度の対象分野です。ただし一般の分野とは別に、日本語能力や講習時間、転籍などについて介護独自の要件が上乗せされています。

技能実習から何がどう変わり、すでに広く使われている在留資格「特定技能」とどう使い分けるべきか。介護施設で採用や運営に関わる方に向けて、資格や要件のポイントを解説します。

技能実習から何が変わる?押さえるべき2つの大きな特徴

育成就労制度は、単なる名称の変更ではありません。制度の目的そのものが、技能実習の「技能移転による国際貢献」から、「人材の育成と確保」へと切り替わります。

この目的の転換にともない、対象分野、技能評価、日本語能力、転籍、監理体制まで幅広く再設計されました。

たとえば、技能実習の監理団体は、独立性や職員配置などの要件を厳しくした「監理支援機関」へと改められます。送り出し国での前職要件や、帰国後に技能を活かす要件も、原則として不要になります。

変わる点は多岐にわたりますが、介護施設の運営に直接影響するのは「日本語教育」と「転籍」の2つです。この2つを順に見ていきます。

 

育成就労 日本語教育の義務化と厳格化

技能実習では、多くの職種で、入国時の日本語試験合格が法令上の要件になっていませんでした。育成就労では、この点が大きく見直されます。

新制度では、日本語能力の到達目標、講習の時間数、教育を担う機関や講師の要件が制度として明確になります。単なる語学研修ではなく、満たすべき基準として定められます。

一般分野では、就労開始前に日本語教育の参照枠でA1相当の能力を身に付けることが原則とされます。A1相当の試験に合格していない場合は、認定日本語教育機関の「就労のための課程」で100時間以上の講習を受けることが基本です。

入国後講習の総時間は、入国時の日本語試験の合否と、入国前講習の有無によって変わります。

入国時のA1相当試験 入国後講習(原則) 入国前講習を受けた場合
未合格 320時間以上 160時間以上
合格 220時間以上 110時間以上

「入国前講習を受けた場合」の時間は、過去6か月以内に所定の時間数以上を受講していることが前提です。

この総時間には、日本語のほか、日本での生活一般、法的保護、技能の修得に資する知識などが含まれます。このうち法的保護に関する科目は8時間以上とされています。

 

介護分野における最大の特徴は、対人サービスという業務の性質上、初期段階から他分野よりも一段階高い日本語能力が求められる点です。

一般分野では就労開始前の目標水準が「A1相当(日本語能力試験N5レベル)」とされているのに対し、介護分野では原則として「A2相当(N4レベル)」が目安となります。

 

育成就労 転籍要件の緩和

技能実習では、実習実施者の倒産や重大な法令違反、暴力・ハラスメントといった「やむを得ない事情」がある場合を除き、本人の意向による転籍は原則として認められませんでした。

育成就労では、一定期間の就労に加え、技能・日本語の水準や同一の業務区分といった要件を満たせば、本人の意向による転籍が可能になります。制限期間は分野ごとに1年から2年の範囲で設定され、介護分野は2年です。

 

介護で2年とされた背景には、次のような理由があります。

  • 継続的な対人支援を通じて、利用者との信頼関係を築く必要がある
  • 疾患の理解やチームケアなど、習得に時間のかかる知識・技能が多い
  • 地方から都市部への過度な人材流出を抑える狙いがある

 

なお、この2年という期間は固定ではありません。受入機関の判断で1年に短縮することもできます。ただし2年を選ぶ場合は、就労開始から1年を過ぎた時点で待遇の向上などを図る義務が生じます。
具体的には、介護職員等処遇改善加算の取得や、外国人ごとの育成就労キャリア支援プランの作成などが要件とされています。

つまり、2年間ただ在籍させることが目的ではなく、2年後も選ばれる職場をつくることが前提です。

賃金未払いやハラスメントなどのやむを得ない事情がある場合は、2年を待たずに転籍できます。「2年間は必ず在籍する」という定着の保証ではありません。

 

介護業界における育成就労制度への影響

介護は、利用者の心身状態を観察しながら自立を支援し、看護職やケアマネジャーと連携する対人援助の仕事です。記録、申し送り、事故報告、急変時の対応など、高いコミュニケーション能力と判断が求められます。

そのため介護分野では、一般分野より高い入国時の日本語水準と、長い入国後講習、指導員の配置などが要求されます。育成就労制度の導入は、採用や現場運営に次のような影響をもたらします。

 

  • 採用候補者の母集団を広げやすくなる一方、入国後講習の時間と費用をあらかじめ見込む必要がある
  • 育成就労指導員の配置と、日々のOJTにかかる現場負担が増える
  • 転籍が可能になることを前提に、待遇やキャリア支援などの定着施策が欠かせない
  • 育成就労から特定技能、介護福祉士資格の取得まで見据えた長期的なキャリア設計が求められる

 

外国人職員だけに負担を集中させないよう、受け入れる日本人職員が教える力を高めることも同時に進めます。

 

受入れにあたっては、次のような要件も定められています。

  • 雇用形態は直接雇用に限られ、人材派遣として配置することは認められない
  • 受入れ人数は事業所単位で、日本人等の常勤介護職員の総数が上限となる
  • 育成就労指導員を外国人5人につき1人以上配置し、うち1人以上は介護福祉士等とする
  • 夜勤や緊急時の対応、訪問系サービスへの従事は、安全確保や研修・同行などの条件を満たす場合に限られる

 

これらは受入れの前提となる最低限のルールです。実際の受入れ人数は、上限の枠だけで決めず、指導や生活支援に十分手が回るかどうかを見極めて決めます。

あわせて、利用者やその家族に対して、外国人職員がどのような研修を経て働くのかを丁寧に説明しておくと、現場での不安や誤解を防ぎやすくなります。

 

「特定技能」ではなく「育成就労」を選ぶメリットはあるのか?

これまで受入れ施設が特定技能ではなく技能実習を選んできた理由の一つに、「転籍されにくさによる定着の担保」がありました。育成就労で転籍が緩和されると、この前提は変わります。

とはいえ、介護分野には原則2年の本人意向転籍の制限が残るため、初期の育成投資を回収する期間は一定程度確保しやすい設計です。育成就労を選ぶメリットは、大きく3つあります。

 

①採用候補者の層を広げやすい

特定技能は介護技能や介護日本語の試験に採用前の合格が原則ですが、育成就労は入国後の育成過程で段階的に到達させます。海外の試験合格者だけでは人数を確保しにくい場合の選択肢になります。

 

②計画的な人材育成が制度に組み込まれている

育成就労計画に基づき、技能・日本語・キャリア形成を段階的に管理できます。施設が独自に教育を設計するだけでなく、制度上の評価時点と到達目標があるため、育成を標準化しやすくなります。

 

③長期の採用パイプラインを描ける

育成就労の3年と特定技能1号の通算5年を続けて活用すれば、制度上は最長で8年程度の就労が見込めます。介護分野に特定技能2号はないため、その後は介護福祉士の国家資格を取得し、在留資格「介護」へ移行する経路が中心になります。

 

一方で、育成就労には相応の負担もあります。配属前講習の時間と費用、初期の即戦力性の低さ、育成就労計画や監理支援機関への対応といった運用の複雑さです。
3年後の特定技能への移行や定着が自動的に保証されるわけではありません。

つまり育成就労は、即戦力をすぐに配置したい施設よりも、育成を前提に採用する施設に向いた制度です。

 

特定技能との比較

育成就労と特定技能1号の違いを、介護分野に絞って表に整理します。

比較項目 育成就労(介護) 特定技能1号(介護)
入国時の一般日本語 A2.2相当(N4相当が目安) A2.2相当(N4相当が目安)
介護日本語・介護技能の試験 入国後に段階的取得
(初級→専門級、終了時に介護日本語)
原則、採用・在留資格取得前に合格済み
即戦力の期待値 育成が前提のため配属直後は低い 相対的に高い
在留期間 原則3年 通算5年
本人都合の移籍 介護は原則2年経過後、要件を満たせば可 同一分野内で転職可、2年の待機なし
教育コスト 配属前講習など初期負担が大きい 支援計画・施設研修は必要

両制度は、どちらが優れているという関係ではありません。採用までの期限や現場の教育体制によって、適した制度が変わります。

長期的な人材育成を視野に入れている場合は育成就労、即戦力を求める場合は特定技能を選ぶと良いでしょう。

 

自社に最適な制度は?育成就労と特定技能の入国時の違い

ここからは、両制度のスタートラインの詳細な違いを見ていきます。育成就労は、企業が時間とコストをかけて最終的に定着まで導く制度です。

その違いを、「日本語能力」と「研修義務」という2つの観点から比較します。

 

育成就労と特定技能の日本語レベルの違い

介護分野では、育成就労の就労開始時も、特定技能1号の受入れ時も、一般日本語の基準はいずれもA2.2相当です。日本語能力試験でいえばN4相当が目安とされます。

では、育成就労と特定技能の日本語レベルはどこが違うのか。

特定技能1号は、一般日本語に加えて「介護特定技能評価試験(日本語)」にも原則として合格しています。介護現場で必要な語彙や会話の理解を、採用前に確認している点が差になります。

育成就労では、介護日本語の試験は制度終了時の到達要件として位置づけられ、入国時点では求められません。

なお、N4相当はあくまで最低ラインです。利用者との会話、介護記録、申し送り、急変時の報告などを踏まえると、N4に合格しているだけでは現場対応に十分とはいえません。配属の前後で、一人ひとりの会話力や聴解力を実際に確かめておきます。

 

入国直後の「配属前講習」など研修義務の違い

育成就労には、入国直後の講習が法令で義務付けられています。
ここでも介護分野には、独自の基準が上乗せされています。

一般分野では、入国後講習は先述のとおり110時間から320時間の範囲で定められますが、これに対し介護分野では、日本語科目だけで240時間以上が必要です。さらに、介護技能の修得に資する知識の講習が42時間以上求められます。

一方、特定技能1号には、育成就労と同じ形の一律の入国後講習時間はありません。採用前の試験で技能と日本語の水準を確認しているためです。

ただし、研修や支援が不要というわけではありません。受入れ機関は「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、事前ガイダンス、生活オリエンテーション、日本語学習機会の提供、相談対応、定期面談などの義務的支援を行います。この支援は「登録支援機関」という、出入国在留管理庁から認可を受けた専門のサポート機関にお金を払って支援業務を任せるケースがほとんどです。

 

両制度の違いを、講習と支援の観点でまとめます。

項目 育成就労(介護) 特定技能1号
入国後講習 日本語240時間以上(B1相当以上は80時間以上)+介護知識42時間以上 一律の講習時間はなし
配属後の支援 育成就労計画に基づく計画的な育成・指導 1号特定技能外国人支援計画による義務的支援

育成就労は配属前教育の負担が大きく、特定技能は配属後の職場適応と生活支援の設計が中心になります。

特定技能1号「介護」と比べると、入国時の一般日本語はいずれもA2.2相当で同じです。違いは、特定技能が介護技能と介護日本語を採用前に確認しているのに対し、育成就労は入国後の3年間で段階的に到達させる点にあります。

即戦力をすぐに配置したい施設は特定技能候補者層を広げて計画的に育てたい施設は育成就労というように、採用の期限や教育体制に応じて両制度を組み合わせて考えるのが現実的です。

準備には時間がかかります。制度が始まる2027年4月を待つのではなく、2026年度のうちに採用方針を固め、動き出しておきたいところです。

自施設に育成就労と特定技能のどちらが合うのか、受入れ後の日本語教育や介護福祉士の資格取得支援までどう設計するのか。

判断に迷う場合は、制度に詳しい支援機関へ早めに相談するのが近道です。

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